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【欧州】自動車の脱炭素規制(燃費規制とガソリン車禁止)

社会・経済

脱炭素社会の実現に向け、各国・地域が年々、取り組みを強化しています。

走行時に車から出る温室効果ガスの排出量を減らす燃費規制と、国や地域内でガソリン車の販売自体を禁止する規制の大きく2種類があります。

最も環境規制の厳しいとされる欧州における、自動車の脱炭素規制を簡単にまとめてみました。

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燃費規制(CAFE規制)

欧州では「CAFE規制」と呼ばれる燃費規制が本格施行されています。

走行1kmあたりのCO2排出量を平均95g以下に抑えられないメーカーには罰金が科されます。罰金は、超過分1gあたり95€×域内販売台数です。

欧州では、CO2排出量目標への対応で自動車メーカーが連合を組むことを認める「オープン・プール」と呼ばれる制度を設けており、各社はこれを活用することで目標値達成・罰金回避を目指しています。

 

ガソリン車禁止の規制

2021年7月14日、欧州委員会は、2030年の温室効果ガス削減目標を1990年比で少なくとも55%削減を達成するための政策パッケージ「Fit for 55」を発表しました。

乗用車や小型商用車に対するCO2排出基準は、2021年比で新車の平均排出を2030年から55%、また2035年から100%減らすことを義務付けています。ゼロ排出モビリティへの移行を加速化させるため、厳しい基準が設定されています。

この結果、2035年以降に登録される新車は排出ゼロ車となります。つまり、ハイブリッド車(HV/PHEV)を含むガソリン車の販売を事実上禁止し、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)への移行を促しています。欧州議会も2022年10月にEU加盟国と合意しました。

乗用車排出量 性能基準規則 (2021年比)

2020年1月1日から適用している規則では、2030年のCO2削減目標を乗用車は2021年比で37.5%、バンは31%と定めていましたが、欧州委員会は、乗用車・バンのCO2排出削減基準を厳格化しました。

その後、2023年3月28日、EU理事会は、欧州議会と2022年10月に暫定合意した乗用車・小型商用車のCO2排出基準に関する規則の改正案を正式に採択。欧州議会は2月14日に同改正案を正式に採択していることから、EU官報掲載から20日後に発効します。

EU理事会は当初、同改正案を3月上旬に正式採択する見込みでしたが、ドイツが2035年以降の合成燃料(e-fuel)を使用する内燃機関搭載車の販売継続を求めて反対する意向を示したため、採択を延期。イタリア、ポーランド、ブルガリア、チェコも反対の意向を示し、欧州議会との暫定合意後に加盟国が合意テキストに異議を唱える異例の事態に陥っていました。

3月28日に採択された法案では、ガソリン車などエンジン車の新車販売において、2035年以降も合成燃料(e-fuel)の利用に限り認めるものとして最終承認されました。

参考
欧州委、2035年までに全ての新車のゼロエミッション化提案(EU) – ジェトロ
EU、乗用車・バンのCO2排出基準の新規則施行へ、電動化方針に変わりなし(EU) – ジェトロ

 

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以上、簡単ですが、現在欧州で2種類の欧州での規制をまとめました。

今後に向けては、車の製造から廃棄までの全工程を指す「ライフサイクル」でCO2排出の把握を求める議論も進んでいます。今後さらに規制は厳しくなることが予測され、自動車メーカーは法規対応を早期に進めなければ市場に置いて行かれる可能性もありそうです。

また、今回は欧州を取り上げましたが、アメリカでは2022年8月にインフレ抑制法案(IRA)が成立するなど、国によって様々な法規があるので正しく理解する必要がありますね。

おわり。

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