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自分探しではなく自分なくしを|みうらじゅんの言葉に学ぶ

生活・趣味

20代の頃、「自分なくし」という言葉に出会ったとき、自分の中のもやもやが一気に溶けていった感覚を覚えています。そして今に至るまでその意味の深さをいろんなシーンで感じてきました。

 

20代は人生に悩み、迷走していて、自分探しをよくしていた気がします。

世界一周に憧れて著名人や名もない若者の旅行記など読み漁ったり、友達と夢を語り合ったり、さまざまな資格を学んだりしていました。自分の生きる世界はここじゃない、こんなはずじゃないと自分の可能性を信じてがむしゃらに走っていた気がします。

若い内は、自分の内面と向き合う時間を持ち、自己意識を固めることも大切だと思います。他人からの目を意識したり、不条理な世界への憤りや劣等感を持つことが原動力になることもあるし、自己防衛や自己顕示のために動くことも立派な行動だと思います。

 

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ただ、そんな時に出会った「自分なくし」という考え方が面白くて、言葉にならないモヤモヤに対して少し得心がいった気がします。

「自分なくし」は、みうらじゅんさんの言葉で、ざっくりいうと「自分探しは、結局のところ他力本願である。自分というものは自身の中にあるものではなく、結局は接する相手の中に形成されるものなので、自分の内面ばかりを見ていても自分は見つからない。自分探しに使っている時間を相手を思いやる時間に使った方がよっぽど有意義である」という感じ。

 

同じようなことを昔、歌手のナオトインティライミも言っていて。

20代の頃に1年半をかけて世界一周をしたナオトインティライミですが、「世界一周の旅で何を得ましたか?」という質問に「得たというより、なくすことができた。見栄とか自分を大きく見せようとする気持ちは無駄で、裸のままの自分を見せることが大事だと気づいた」といったことを言っていました。

 

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オードリー若林の著書にも、内的価値よりも外的価値に重きを置いた方が良いと書かれていました。

人間は内ではなくて外に向けて生きた方がよい。内(自意識)ではなく外に大事なものを作った方が人生はイージーである。外の世界には仕事や趣味、そして人間がいる。内(自意識)を守るために、誰かが楽しんでいる姿や挑戦している姿を冷笑してたらあっという間に時間は過ぎる。

『ナナメの夕暮れ』若林正恭 ー凍えた手ー

 

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これらの言葉や考え方は、私の中でかなり心に残っています。

誰しもある程度のプライドを持っているので、外からの目を意識し、見栄や虚精神、承認欲求や自己顕示欲によって行動していることも多いと思います。

名のある有名企業で働くこと、高い洋服で身を装うこと、イケメンや美女と付き合うこと。こうしたことは、他者の目を意識して着飾ってしまうことの代表例かもしれません。

ただ、本当に目指したいのは、内発的動機づけによる行動です。内発的に湧き上がる動機から、本当に自分が求めていることを、気持ちのままに行動することを大事にできる人になりたい、と改めて感じました。

 

恋愛でも同様のことが言えると思います。

無意識に相手を鏡に自分のことを見ていたり、相手の気持ちの大きさで自分の存在価値を測ったり。結局、相手のことを想っているようで自分のことばかり見ている、というのはありがちだと思います。

ただ、本当に相手のことを想うのであれば、相手からの見返りは求めるのではなく、自分がその人を想う気持ちを何よりも大事にすべきで、相手が自分をどう想っているかは二の次として考えられるのではないかと思います。

相手を想う気持ちを大切にすることは、自分で自分自身の気持ちを大事にしているということになります。相手を鏡に自分の価値を測るとのは違って、自分で自分を大事にするということなので、他人に左右されず、どのような状況でも前向きな気持ちであり続けられるので、とてもいいことですよね。

 

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「自分は探すのではなく、自分をなくす」

自分から出る矢印を、内側だけで閉じ込めるのではなく、外に向けて跳ね返らせるのでもなく、そのまままっすぐに外に向けて、他者向けていく。一種の諦念に近いのかもしれませんが、きっとこの考え方を持てる方が幸せには近づけるんだろう、とつくづく思います。

自分の内側を覗く時間を、広い世界を見る時間に、相手を想う時間にしていきたいですね。

 

 

オードリー若林正恭の短編集『ナナメの夕暮れ』は、若林さんが30代後半の頃に書いたエッセイです。社会に対する義憤に駆られ、冷笑して自意識と戦い続けてきた20代から徐々に、内(自意識)から外に意識を向けていった30代の変化が綴られています。

進行中で人生に悩んでいる人も、諦念モードに入っている人にもおすすめです。

 

みうらじゅんさんは『自分なくしの旅』という青春小説を2009年に出版しています。自叙伝やエッセイではないので勘違いのなうようご注意ください。

 

以上、最後までご覧きただき、ありがとうございました。

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