ゴールデンサークル理論をTEDで語ったことで有名なサイモン・シネック氏の著書「WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う」を読んだレビューです。
ゴールデンサークル理論がわかる
まず、本書の主題である〈ゴールデンサークル理論〉について簡単に触れておきます。2009年にサイモン・シネック氏がTEDで語ったことで有名です。
ゴールデンサークル理論とは、WHY→HOW→WHATの順でコミュニュケーションを行うことで、人々をインスパイアすることができるというもの。
熱狂的なファンが多いAppleは、ゴールデンサークル理論を活用していることで有名です。
Appleの伝え方は、商品の説明である「HOW」や「WHAT」よりも先に「WHY」を伝えているから、人の心を動かすと言われています。
ゴールデンサークル理論は、様々な場所で語られているので詳細は割愛します。サイモン・シネック氏のTEDは一度見てみてください。
失敗事例から「WHY」の大切さがわかる
本書では、「WHY」の重要さが様々な角度から語られています。Appleなどの成功事例だけではなく、失敗事例も書かれているのがわかりやすいと思いました。
7章では、イノベーター理論を基に、市場の普及においては、イノベーター、アーリー・アダプターの獲得が重要であること。
そして、その獲得にはおいては「WHY」を伝え、信念を分かち合うことが肝になることが書かれていました。
ここで書かれていた失敗事例が、Tivo社です。
Tivo社は、技術やプロダクトは非常に優れていたにもかかわらず、マジョリティ向けに、「WHAT」(製品機能)を発信したために、市場に受け入れられなかったといいます。
ハイテクを苦手とする大衆の反応は、「よくわからない。必要ない。好きじゃない。こわい。」だったとのこと。
新しい視点のプロダクトになればなるほど、多くの生活者は、なぜそれが必要なのかがわからないものです。「この製品にはこんな機能があります」と言われても、自分の生活にどのような変化を及ぼすのか、なぜ必要なのかが理解できない。
だからこそ「WHY」を明確に示し、なぜこの製品が存在するのかを導入者や初期採用者と分かち合うことが大事なのです。
まさに近年もNFTやMaaSなど様々な先進技術が出てきていますが、まさにこの「サービス自体はわかるけど、なぜそれが必要なのかわからない」という反応が生まれている様に感じます。まさに、これこそがゴールデンサークルが注目される理由でしょう。
「WHY」の視点は従業員にとっても大切
本書は、リーダーが「WHY」主導で動くことの重要性が説明されていますが、この考え方は決してリーダーだけに必要なものではないと思いました。
本書6章内で書かれていた「大聖堂の建設に従事する2人の石工の話」について簡単に抜粋します。
2人の石工に「仕事は好きか」と問うと、1人は「物心ついたときから作業をしている、作業は単調だが仕事だからやっている、賃金をもらってるんだ」と答え、もう1人は「そりゃそうだ、大聖堂を建ててるんだ、作業は単調だが大聖堂を建ててるんだよ」と答えたという話。
ふたりはおそらく同じ賃金で同じ仕事をしているはず。なのに、全く見えている世界が違うんです。
これ、身近でも感じませんか?
ある程度の規模の企業なら、仕事はどんどんブレイクダウンされ、担当レベルになれば、タスクレベルになって仕事が回ってきます。
それを企業のビジョンを理解した上で、そのパーツのひとつとしての意味を理解しながら仕事をしている人と、細分化された目の前のタスクしか見えてない人で全く仕事のモチベーションや質は変わると思います。
【自分より2つ上の役職で考える】という考え方をよく聞きますが、言い換えると、「WHAT(業務内容)」や「HOW(手法)」だけでなく、なぜそれをやるのかの「WHY」を理解することが大事だということなのかもしれません。
仕事においても、視座を高く、WHYを考えながら取り組みたいものだなと改めて思いました。
最後に
ブランディングに関わる人なら、一度は読んでおきたい本だと思います。
特に前半分くらいは、ビジネスマンなら押さえておきたいポイントですので、ぜひご一読ください。
それでは、また!