WebマーケやPR、ブランディングに携わる人必読の書籍『ファンベース』のポイントを備忘録としてまとめました。
佐藤 尚之
1961年東京生まれ。コピーライター、CMプランナーを長くやったあと、ウェブ・プランナーを経て、現在コミュニケーション・デザインを主たる領域とするクリエィティブ・ディレクター。
本業関連の著書は、『明日の広告』『明日のコミュニケーション』『明日のプランニング』など。
ファンを大切にする理由
ファンとは、企業やブランド、商品が大切にしている価値を支持してくれる人のことを言います。企業は新規顧客獲得に向けて様々な施策を仕込みますが、新規顧客→既存顧客→ファンと目線を移していかなければなりません。
理由1:パレートの法則
パレートの法則とは「全体の数値の8割は、全体を構成する要素のうちの2割の要素が生み出している」という経験則のことです。
つまり、20%のファンが、80%の売上を生み出すということです。Webでも上位20.1%が総アクセスの63.8%を占めるそうです。
理由2:既存顧客の維持コスト
既存顧客の維持コストは、新規獲得コストの1/5と言われています。
理由3:社会的背景
人口減少、高齢化社会、独身5割時代、成熟市場、情報過多時代、といった社会背景により、ファンが重要になってきているとも言います。
高齢者は新しいものに手を出さなくなる傾向があります。また、人は選択肢が多ければ多いほど選択や難しくなり、売り上げが下がるとも言われています(=ジャムの法則)。こうした社会では、機能価値よりも情緒価値の方が大事になってきます。
さらに情報過多社会においては、イノベーターとマジョリティの差が広がり二極化が進むばかりだと言います。企業が一生懸命、PRや宣伝をしても見てくれる人は結構少ないのです。ただ、友人からのススメは耳に入るものです。価値観が近い人であり、かつ、熱意を持った人のおすすめには耳を傾ける人が多いのです。
理由4:短期キャンペーンが届かない
世の中には情報が溢れかえっているので、短期キャンペーンの情報が届かなくなってきています。単発のキャンペーンでは顧客獲得は難しく、男女のアプローチと同じように、ゲットしたければ連絡を取り続けなければなりません。
こうした理由から、ファンを大切にする「ファンベース」という考え方が大事になるのです。
ファンベース実践編
ファンは少数であるということがまず前提になります。「ファンをいかに増やすか」ではなく「今いるファンをいかに大切にするか」を考えていきます。
ファンベースを実践する上でのポイントは3つです。
1. その価値自体をアップさせる
2. その価値を他に代え難いものにする
3. その価値の提供元の評価・評判をアップさせる
つまり、
1. 共感を強くする
2. 愛着を強くする
3. 信頼を強くする
ことが大切になります。
1. 共感を強くする
ファンの声を聴き、ファンであることに自信を持ってもらいます。ファンを喜ばせることで共感は少しずつ強くなります。
2. 愛着を強くする
他に代え難いもににするには、機能価値ではなく情緒価値が大切になってきます。商品の開発ストーリーやドラマを謳ったり、ファンとの接点を大事にしたり、ファンが参加できる場を増やすことで、愛着を強くしていきます。
3. 信頼を強くする
信頼を強くするには、誠実であることが重要です。本業を細部まで見せることも信頼を強くすることに有効です。また社員の信頼を大切にし「最強のファンにする」のもひとつです。
共感、愛着、信頼を育てることで、共感は熱狂へ、愛着は無二へ、信頼は応援へと変わっていきます。
1. 共感→熱狂
2. 愛着→無二
3. 信頼→応援
悪いところを直すのではなくイイトコロを伸ばすのが、ファンベースを実践する上で大切にするべきポイントです。ファンからの傾聴により自社の良い部分を把握し、良さをより伸ばす活動をしていきましょう。
以上、ファンベースでの学びのまとめでした!