新しく公式SNS担当者になった方やSNS担当者の実務を体系立てて整理・理解したい方に向けて、SNSの仕事の概要・全体像を説明していきたいと思っています。
皆さん、SNS担当の仕事=公式SNSの運用と思っていませんか?
私も最初はそう思ってました。公式SNSの運用はもちろんメイン業務になることが多いですが、SNSの仕事はそれだけではありません。
今回のSNS担当は、コーポレート部門、特に広報としての立場で考えます。
広報としてのSNS担当者
広報は「情報」を取り扱う部署です。
社内から情報を収集し、必要なステークホルダーに情報を届けていく、また世の中の自社に対する評判や要請を要約し、社内にフィードバックして対応や変革を促していくことが、広報の重要な役割です。
では、広報のSNS担当の仕事について改めて見ていきます。
私は大きく3つに分類できると思っています。
- 情報発信
- 傾聴・ソーシャルリスニング
- 危機管理
これらをそれぞれ詳しく見ていきたいと思います。
SNSを活用した情報発信
社内から情報を収集し、SNSを通じて必要なステークホルダーに情報を届けていきます。
SNSを活用した情報発信方法として、おそらく皆さんが一番に思いつくのは、公式SNSでの発信。
ただそれ以外にもインフルエンサーの活用、UGC活用など様々な方法があります。
公式SNS運用
まずは公式SNSの運用です。情報発信としては公式SNSが王道ですね。
公式SNSの運用業務はさらに「情報発信」「効果測定」「監視」に分類できます。
情報発信
社内の情報を収集して、必要な投稿文・画像を揃えた上で公式SNSで発信を行います。
こちらは想像しやすいと思います。
効果測定
定めたKPIに対しての振り返りを行います。投稿毎、月毎などで反響を分析しましょう。
出しっぱにならないように分析は重要です。
監視
コメントや引用RTのお客様の反応の監視です。分析は長期的な改善を目指すもので、監視は短期的な対応を行うためのものです。
監視をすることで、投稿誤記の指摘や、炎上の兆しなどの発見が早くなります。
誤記を即時に訂正したり、公式SNSを起点にした炎上を火種のうちに食い止めたりするために、定期的に監視をするのをおすすめします。
インフルエンサーの活用
SNS担当というと公式アカウント運用のイメージが強くなりますが、公式SNSがなくても、SNSを活用した情報発信は可能です。
そのひとつが、インフルエンサー活用。著名人やインフルエンサーなど影響力が大きい人物に自社製品を紹介してもらう方法です。
企業からの一方的な発信は消費者に届かなくなってきていると言われており、公式SNSの発信だと企業の色が強すぎてなかなか消費者が耳を傾けてくれないことも。
そういったときに、インフルエンサーを活用し、第三者に語ってもらうことで、企業感を薄めながらも情報を届けていくことができるのがインフルエンサーを活用した情報発信です。
UGCの活用
UGCとは、「User Generated Content」の略で、一般ユーザーによって作れられたコンテンツのことです。
情報が溢れる現在社会において、企業主体の情報には消費者はなかなか耳を傾けません。基本的に企業はいいことしか言いませんから。
消費者の情報リテラシーが上がれば上がるほど、クチコミサイトやSNSでの口コミがとても大事になってきているのです。
一般消費者が思わず投稿したくなるような仕掛けを作って、UGCを生むと非常に大きな話題が生まれることもあり、多くの企業がいまUGCの活用に注目しています。
傾聴・ソーシャルリスニング
傾聴・ソーシャルリスニングとは、名の通り、世の中の自社に関する発言に対して耳を傾けることです。これは、公式アカウントへのコメントを見ることとは異なります。
企業名でSNS検索をすると様々な投稿が見つかります。公式アカウントへのコメント数とはきっと桁違いの量の声がみられます。
SNSでのお客様の声に耳を傾け、企業コンディションを把握することもSNS担当者の大事な業務。
重要発表後の反響分析はもちろん、ユーザー間で話題なっているものを見ることで、新しい発見があるかもしれません。
アンケート調査よりもずっとリアルな声が見つかりますので、いろんなヒントが眠っています。
危機管理
最後に、炎上に関する対策であるリスク関連の仕事を押さえておきましょう。
炎上のパターンは大きく分けると3つ。
公式アカウントによる炎上、従業員の個人アカウントによる炎上、お客様の発言による炎上です。
この3つを防ぐために、リスク啓発・リスクチェックを行いましょう。そして、炎上してしまった場合にも備えておく必要があります。
リスク啓発
まずは公式アカウントによる炎上と、従業員の個人アカウントによる炎上を防ぐために、従業員に向けてリスク啓発を行いましょう。啓発講習のほかハンドブックの配布など、様々な方法があります。
リスクチェック
SNS上でのお客様の発言を日々のモニタリングして、炎上の火種がないかを確認しましょう。
目視での確認を行う企業もあれば、一定量のバズが発生したときに通知するシステムを活用している企業もあります。
公式SNSコメントの監視と、ソーシャルリスニングと重複する部分もあるので、うまく組み合わせてリスクチェックも行いましょう。
リスク対応
炎上が発生してしまったあとの対応です。炎上対応はスピードが命。いざというときのためにリスク対応マニュアルは作っておきたいですね。
会社にマニュアルがあるのかを確認してみてください。形骸化している場合は見直す必要もあります。
以上、SNS担当の実務を改めて見てみました。
SNSが関わる領域は非常に広範囲。あなたの企業では体系だった体制が組まれていますでしょうか?
SNSはどの企業でも大事なツールとなってきています。改めて「SNSという業務」を見直してみてください。
では、第3回目では、SNSに関わる社内外の文書をまとめます。